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女性は家のなかの模様がえが好きで、タンスの位置など、どんどん変えていきます。変えることでストレスを解消し、また新しい環境にもなじむことができるようです。 男はどうかというと、まずめったに自分から「模様がえをしよう」とはいわないし、決まった位置を動かすことを基本的に好みません。 むしろ男は家庭でも職場でも、自分の定位置が決まっていないと心細くなるものです。その意味でも、床の間というのは、男を定位置に座らせるすばらしいコーナーでした。しかし、これもなくなりかけています。 酒を飲むときも、そのたびに店を変える男は少なく、行きつけの店を持ち、そういう店では座る場所も同じというのが、多くの男が好む習性なのです。つまり男には定位置というものがあります。なければつくって、それを守りたいのです。 私などもその傾向が強く、よくメガネや鉛筆などを、妻が掃除するときにちょっと横に移動させただけで、もう見つけられなくなり、「オレのメガネはどこへやった」とイライラしてしまいます。 怒ると家内は、「どこを見ているのよ。机の左端に置いてあるじゃない」といわれることがたびたびありますが、男というのは、すべて自分の考えている定位置にこだわるものです。 朝食でも、家では、ご飯と味噌汁という和食が習慣になっていますが、それは習慣というより、自分が望んでいる朝食の定位置つまり定番になっていることです。この定番が出されると、心が落ち着くし、「これから一日が始まるぞ」という新たな気持ちになりますが、パンとコーヒーでは、何か気合が入らないのです。 ですが、妻はそんなことにこだわらず、洋食を食べたいときは、時間をずらして一人でゆっくりと朝食を取っているようです。 ビジネスマンは、ゴルフに行くとき以外の服装は「スーツがいちばん安心できる」といいます。これなども変化を好まない男の保守性のあらわれでしょう。だから、「スーツしか着られなくて気の毒だわ」などと思う必要はないのです。 何十年もキチンとネクタイをしめ、スーツを着つけているので、それをくずすことのほうが、自分でなくなるようで怖いのです。 最近では、国をあげてクール・ビズ(COOL・BIZ)と盛んに言われるようになり、夏などはノーネクタイでカジュアルな服装がまかり通るようになりましたが、それでも中年以上の人はスーツにこだわる人が多いのも事実です。 |
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