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すぐれた仕事をするような人間、人の上に立つような人間には、どこか革新的な部分、あるいは柔軟性があるものです。 E・M・ロジャースという社会心理学者によれば、世の中はおおむね16パーセントの人間によって動かされている。 革新者が3.5パーセント、適応者が12.5パーセント。つまり新しい何か想像する、古いものを破壊する、新しい環境や現象にすぐに適応できるというタイプの人間だけが社会の中枢に到達できるといっています。 あとは追随者か遅滞者だそうで、こういう人間は社会現象を支えはするが、それはあくまで消費者や大衆、つまり「その他大勢」の役割であって、出世の階段を駆け上り、「いい思い」のできる人々ではないということです。 その欠陥はどこにあるかといえば、ライフスタイルがあまりに保守的であるからです。 つまり男の本性である保守性は、自分の城を守り、失敗を減らし、安全と安定を維持するのには役立つが、社会のエリートになるには、むしろマイナスの作用を持っています。 だから女性は、自分の夫なり恋人が、どの部分でより保守性が強いかを見極める必要があるのです。 たとえば、上司のいうことにはすぐに同調してしまうとか、社会秩序にきわめて従順であるとか、新聞記事を鵜呑みにする。 社会の流行現象には無定見に追従するようなタイプだったら、まあ追随者か遅滞者になる人間と思って間違いないでしょう。流行現象は、この追随者と遅滞者がいないとはじまらないからです。 それから、自分の育った環境から得た生活習慣に、絶対的な価値を認めているような人間も、まず革新者にはなれません。 たとえば、「味噌汁に入れる豆腐のきり方は絶対にこうであらねばならぬ」などとこだわるタイプです。最近「こだわり」が最高のファッションといわれていますが、結婚生活では、ちょっと考えものかもしれません。 それ一つだけならいいですが、一事が万事その調子だったら、革新者や適応者には、ちょっと向きません。 革新者の場合は、とんでもないことをやって失敗する確率も高いし、適応者もてどこかうわついていて安定性に欠ける一面があるので、どのタイプにも欠点はあるし、いずれを選択するかは各人の自由です。 ともあれ、追随者と遅滞者が84パーセントを占めているということからも、男が本質的に保守性の強い動物であることは理解できると思います。 また、すごく革新的な仕事をする男でも、枕だけは同じものでないと寝られない、などといった細かなこだわりはけっこう持っていたり、家庭内では絵に描いたような亭主関白で、保守のかたまりであったりするケースが多いものです。 |
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